
長崎県佐世保市黒島町3333番地に位置する、2018年(平成30年)、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産として世界遺産登録が決定し注目されている、レンガを40万個も使用して建築されたとされる教会です。登録決定時は大変な話題となりましたが、それ以前から国の重要文化財の指定も受けています。 至聖なるイエズスの聖心教会、イエスのみ心教会という別名もあり、地域の人々に親しまれています。現在の聖堂は明治時代の1902年に完成した、間口15.0メートル奥行32.6メートルのロマネスク様式を思わせる壮麗なもので、見上げると写真よりも大きく、煉瓦造の部分意外にも木造瓦葺きの切妻屋根の部分が確認でき、和洋の伝統的な建築を同時に楽しむことができます。 屋内の外郭部にはステンドグラスがあしらわれ、差し込む光をいっそう荘厳に演出しています。現在は耐震補強の工事中で、さらに後世にこの建築を伝え残すため、全国から匠たちが集まっているそうです。 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産として世界遺産登録が決定した背景にある、江戸時代のキリスト教徒への迫害や弾圧の歴史は悲しいもので、もともと佐世保地方から逃げ集まってきた人々がこの地に隠れキリシタンとして多く住みはじめたのが始まりとされます。 江戸時代の同地方のキリシタン弾圧といえば島原の乱があまりにも有名で、その際には天草四郎率いるキリシタン農民の一揆軍三万七千が原城で皆殺しに合うなど、悲惨な出来事もありました。 それでも人々の心から信仰が消えることはなく、近代になってもなおこのような大聖堂が建築されるほどに根強く息づいていた証とされ、世界遺産の構成遺産として指定されました。 佐世保駅から松浦鉄道西九州線を利用すれば相浦駅下車徒歩約5分と容易にアクセスできます。脚に自信のある方は黒島旅客船のフェリーを利用し、黒島港から島内の景色を楽しみながら30分ほどの散策を楽しむのもよいでしょう。