本山寺の入り口に建つ「仁王門」は、室町時代に建立された門で重要文化財に指定されています。日本古来建築様式「和様」・宋から伝わった建築様式「大仏様」・「禅宗様」の3つの様式で建てられている「折衷様式」は、全国的にも例を見ない貴重な八脚門。もともとは本堂の南東に建てられていましたが、江戸時代1724年(享保9年)に移されました。
仁王門をくぐると正面に見えるのが「五重塔」です。四国霊場において、五重塔が目印となっているのは「竹林寺」・「志度寺」・「善通寺」・「本山寺」の4ヵ所のみ。五重塔は1910年(明治43年)に再建。遠くからでも良く見えるため、本山寺のシンボルとなっています。
五重塔の隣に建っている国宝の「本堂」は、1300年(正安2年)に建てられた物で外観は京都風、内部は奈良風の造りになっています。大きさは、桁行(けたゆき)5間・梁間(はりま)5間、本瓦葺き(ほんかわらぶき)の屋根が4方向に傾斜する寄棟造。正面5間はすべて、和様の蔀戸(しとみど)、側面の手前1間は禅宗様の桟唐戸(さんからど)、その隣は引違い格子戸(ひきちがいこうしど)。背後の中央間にも桟唐戸が入れられており、和様を基調としながらも、細部には禅宗様や大仏様の特徴も見られる「折衷様式」が特徴のひとつ。
内部は前より2間を参拝するための外陣・中央の桁行(けたゆき)3間、梁間(はりま)2間は仏像を安置する内陣・左右1間を脇陣・後ろ1間を後陣としています。内陣には、大型の厨子が据えられており中央に、本尊「馬頭観音像(ばとうかんのんぞう)」・左右に「阿弥陀如来像(あみだにょらいぞう)」・「薬師如来像(やくしにょらいぞう)」が安置。これらの厨子も本堂の附けたりとして国宝に指定されています。また3体の仏像は秘仏であるため、通常は拝観することはできません。