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神社の本殿と建築様式/ホームメイト

本殿は神霊を祀るための建物で、神社内の建造物の中で最も神聖で重要な物です。拝殿(参拝するための建物)の奥にある本殿の建築様式は、仏教伝来よりも前の形式と、仏教伝来後に寺院建築の影響を受けた形式に分けられます。身の回りにある神社の本殿も、屋根の形状などをもとに、いくつかの建築様式に分類することが可能です。参拝の際に本殿の建築様式が分かると、その神社をいつもとは違った視点から見ることができるでしょう。「神社の本殿と建築様式」では、神社参拝に役立つ本殿の建築様式について紹介します。

仏教伝来以前の本殿建築様式

文献で確認できる最も古い時代(7世紀前半頃まで)の本殿建築は、直線的な形状の屋根を持ちます。棟(むね:屋根の面と面が交わる最頂部)に千木(ちぎ:棟の上にV字形に突き出ている木)や鰹木(かつおぎ:棟に対して直角に並んだ数本の丸材のこと)などが設けられているのが特徴。仏教寺院建築の影響を受ける前の本殿建築様式には、主に以下の種類があります。

住吉造(すみよしづくり)

住吉大社

住吉造は、妻入り(棟に対し垂直の方向の壁に入り口が設けてある形式)・切妻造(きりづまづくり:本を山折りにして伏せたような形状の屋根の造り)の形式です。「住吉大社」(すみよしたいしゃ:大阪府大阪市住吉区)が代表的な神社であるため、こう呼ばれています。神明造(しんめいづくり)・大社造(たいしゃづくり)が1室空間なのに対して、前室・後室の2室に分かれた構造になっているのが特徴です。

また、間口に対して奥行きが長いこの形式の起源は、天皇が即位後に神と共に食事をするための建物の「大嘗宮」(だいじょうきゅう)にあるとされています。

毎年11月に五穀の収穫を祝う新嘗祭(にいなめさい)が行われますが、天皇の代替わり後、初めての新嘗祭は大嘗祭(だいじょうさい)と呼ばれ、仮設の大嘗宮(だいじょうきゅう)が設置されるのです。大嘗宮はあくまで仮設の建物であるため、古代の大嘗宮は残っていません。住吉造の建築は、大嘗宮のあり方を現代に伝える点でも大変重要です。

住吉造(線画)
建築用語辞書「住吉造り」

神明造

伊勢神宮 外宮 御饌殿

神明造は、平入り(ひらいり:棟に対し平行方向の壁に入り口が設けてある形式)・切妻造の形式です。「伊勢神宮」(いせじんぐう:三重県伊勢市)に代表され、住吉造とは反対に奥行きよりも間口が広く、弥生時代高床式倉庫(たかゆかしきそうこ)から発展した形式となっています。伊勢神宮外宮(いせじんぐうげくう)の「御饌殿」(みけでん:神様の食事をととのえる殿舎)は、高床式倉庫と同様の板倉(壁を板で作った倉)の形式を採っており、最も古い形式を示すと考えられているのです。

伊勢神宮には、定められた年ごとに新しい社殿を造ってご神体を遷す、式年遷宮(しきねんせんぐう)という儀式が伝わります。戦国時代に120年ほど、式年遷宮が途切れたこともあったとされますが、細かな技術改良がなされながらも、古代の伊勢神宮の姿を今に伝えているとされるのです。

神明造(線画)
建築用語辞書「神明造り」

大社造

神魂神社

大社造は、妻入り・切妻造の形式で、「出雲大社」(いづもおおやしろ:島根県出雲市)の建物が代表的です。間口と奥行きがほぼ同じ長さの正方形に近い比率なのが特徴で、祭祀(さいし)に使用されていた宮殿から発展したと推測されています。ちなみに、現存最古の大社造の建物は、「神魂神社」(かもすじんじゃ)本殿(島根県松江市)です。

また、入り口が中央部を避けた場所に設けられているのも特徴で、これには、「心御柱」(しんのみはしら:別名「岩根御柱」[いわねのみはしら])が関係しています。

神の象徴として祀られている心御柱が建物の中心部にあるため、入り口を脇にずらさなければならないからです。これにより、建物に入ってから奥の部屋へと進む際には、心御柱の周りを回ることとなります。神の象徴である心御柱を中心に回ることで、神が神聖なものであることが、構造的にも実現されるのです。

大社造(線画)
建築用語辞書「大社造り」

仏教伝来以降の本殿建築様式

大陸から仏教が伝来すると、本殿や拝殿の屋根に反りが付けられるなど、寺院建築の影響が神社建築にも見られるようになります。一方で、すべてにおいて仏教色に染まることは決してなく、寺院建築との違いを残すことを意識していた形跡が随所に見られるのです。

全国的に流造(ながれづくり)・春日造(かすがづくり)が広く普及したため、他の建築様式が見られる神社は非常に少なくなっています。

流造

上賀茂神社

流造は、平入り・切妻造で、日本の神社に最も多く見られる建築様式です。この建築様式には千木や鰹木は設けられていません。最大の特徴は、正面側の屋根が反対側に比べて長く、大きな反りが加えられている点です。

また、流造の本殿は、桁行(けたゆき:棟と並行する建物の方向)の長さに応じて、「○間社流造」(○けんしゃながれづくり:○には柱と柱の間にある空間の数が入る)と呼ばれます。流造は平入りなので、桁行が分かれば建物のおおよその形が分かるのです。「上賀茂神社」(かみがもじんじゃ:京都市北区)や「下鴨神社」(しもがもじんじゃ:京都市左京区)に代表される三間社(さんげんしゃ)が典型的ですが、短い物では一間社、長い物では十一間社とバリエーションがあります。

流造(線画)
建築用語辞書「流造」

春日造(かすがづくり)

春日造

春日造は、妻入り・切妻造で、正面入り口の庇(ひさし)と、屋根の千木・鰹木が設けられているのが特徴で、流造の次に多く見られる形式。代表例として挙げられるのは、「春日大社」(かすがたいしゃ:奈良県奈良市)です。

春日造は、切妻と庇の接合の仕方に応じて、縋(すがる)形式と隅木(すみぎ)形式があります。縋形式では身舎(もや:母屋)と庇の構造が分離していますが、隅木形式では正面側に斜めに隅木を入れることで、身舎と庇が一体化し、収まりが良くなっているのです。

春日造(線画)
建築用語辞書「春日造り」

日吉造(ひえづくり)

日吉大社

日吉造は、平入り・入母屋造で、屋根側面に破風(はふ:屋根の妻側の端部分)が入れられた形式で、代表例として「日吉大社」(ひよしたいしゃ:滋賀県大津市)が挙げられます。日吉大社は「比叡山延暦寺」(ひえいざんえんりゃくじ:滋賀県大津市)との関係が強かったことから、神仏習合(しんぶつしゅうごう:神道と仏教が融合したもの)の影響が強く、千木や鰹木は設けられていません。背面に庇が付いておらず、庇部分の屋根が切り落とされています。

日吉造(線画)
建築用語辞書「日吉造」

八幡造(はちまんづくり)

宇佐神宮

八幡造は、平入り・切妻造で、奉祀(ほうし:神仏などを祀ること)目的の外殿(げでん)と内殿(ないでん)が前後に並び、「相の間」が繋いでいる形式。両殿の屋根の接合部には共用の樋(とい/ひ)が設けられています。代表例として挙げられるのは、「宇佐神宮」(うさじんぐう:大分県宇佐市)や「石清水八幡宮」(いわしみずはちまんぐう:京都府八幡市)などです。

八幡造(線画)
建築用語辞書「八幡造り」

権現造(ごんげんづくり)

日光東照宮

権現造は、平入り・入母屋造(いりもやづくり:上部が切妻造、下部が寄棟造[よせむねづくり:四方に屋根面がある形式])で、拝殿と本殿の間に「石の間」や「相の間」を設けた形式。上から見るとエの字形になるのが特徴です。「日光東照宮」(にっこうとうしょうぐう:栃木県日光市)や「北野天満宮」(きたのてんまんぐう:京都市上京区)など、実在した人物を神として祀ってある神社に多く見られます。

権現造(線画)
建築用語辞書「権現造り」

浅間造(せんげんづくり)

富士山本宮浅間大社

浅間造は、平入り・切妻造、2階建ての建築様式で、本殿の下層部は寄棟造、上層部は流造の本殿を乗せたもの。「富士山本宮浅間大社」(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ:静岡県富士宮市)本殿、「静岡浅間神社」(しずおかせんげんじんじゃ:静岡県静岡市葵区)拝殿、「多摩川浅間神社」(東京都大田区)本殿、「浅間神社」(神奈川県横浜市西区)本殿の4社にのみ見られる建築様式です。

もともと浅間神社は富士山を拝するための神社であり、拝殿さえあれば本殿は必要ありませんでした。本殿が設けられるようになったことで、日本一高い山である富士山を祀るにふさわしく、二重の建物として上部に神座(しんざ/かむくら:神霊の降臨する場所)を置いたと考えられています。

浅間造(線画)
建築用語辞書「浅間造」

神聖の象徴・千木と鰹木

千木と鰹木

神社建築様式の特徴のひとつとして、千木と鰹木があります。

千木とは、本殿の屋根にV字型に設けられた物です。先端を水平に切った「女千木」(めちぎ:内削ぎ)と、垂直に切った「男千木」(おちぎ:外削ぎ)の2種類があります。

神明造では、破風を伸ばしたような千木が設けられている一方、住吉造・大社造では棟の上に置かれているだけの「置千木」(おきちぎ)です。江戸時代以降は、この置千木が一般的になっていきます。

鰹木とは、棟に対して直角に乗せて並べられた棒状の装飾のこと。丸材が多いですが、場合によっては角材が使用されることもあり、神社によって数が異なります。

これらの千木や鰹木は、神聖なる神社の象徴として古来設けられ、仏教伝来以降にも伝統的神社建築様式を守ろうとする考え方のシンボルとして使用されてきました。

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