武田信玄と諏訪御寮人と武田勝頼
甲府と言えば先ずは武田神社にお参りに行く人も多いだろう。何と言っても甲府のヒーローである武田信玄にまつわる神社であるから誰しもが足を運ぶ。そこでせっかく武田神社にお参りに来たのであればもう二つ、武田家ゆかりのお寺をお参りしてほしい。
一つは武田神社から見て東の方向にある円光院だ。このお寺は武田信玄の正室が眠っているお寺となっている。武田信玄ファンであれば行って損はないだろう。
もう一つは武田神社から見て西の方向にある法泉寺である。武田神社から車で行くとあるところから急に細い道に入って行き、住宅街に迷い込む。こんなところに立派なお寺があるのかと半信半疑になりながらも進んで行くと、突然目の前に細長い時代を感じさせるような古びた山門が現れる。決して大きくもなく派手でもないが、その存在感は充分だ。
駐車場は消して広くなく、細くて短いちょっとしたスリルのある橋を渡るとすぐにある。車を止めると右前方に本堂が見えるのでそちらに向かって歩き出してしまいそうだが、それはショートカット。一旦、車で来た道を戻って山門の前に立ち、そこからスタートするのが宜しかろう。
山門をくぐると正方形の石畳がまっすぐに伸びてその両脇を灯篭がずらっと並んでいる。本堂へ上るための階段はやや右にまたっていて、本堂は正面を向いていない。何処のお寺も本堂までの道のりが直線であることが多いが、このちょっと屈折したところが愛嬌があるし、本堂の左斜めの横顔も素晴らしいい。
さて、武田勝頼の墓だが大きな案内板があるからまず見落とすこともない。武田勝頼の墓なのだから丘を登った奥の奥の方にあるかと思いきや、実は本堂の脇をちょっと上がっただけですぐに見つかる。
武田勝頼の母は諏訪御寮人と言われ、新田次郎の『武田信玄』では湖衣姫という名で登場する。名前は定かではないが非常に美しい女性であったようだ。武田信玄は正室三条夫人とは不仲だったと言われ、諏訪御寮人を愛し、その子勝頼も溺愛していたから家督を継がせた、という説もあるが、真偽のほどは分からない。