

小高い高台にあってお参りに行くには車がベストだと思うが、道中の舗装も良くて何の心配もいらないし、何と言っても駐車場が広い。この駐車場いっぱいに参拝者が来たらお寺の方が困ってしまうのではないかと思われるほど広いから、まず安心してドライブできるだろう。 駐車場からの眺めも良いのだが、ここはちょっと我慢をして俯き加減でお寺を目指そう。せっかくここまで来たのだからお寺からの眺望に取っておきたい。 境内は白い砂利で一面が埋め尽くされていて、周囲を樹木に囲まれておらず、太陽の日差しがまともに境内に降り注ぐので白い砂利が眩しい。ここはお寺にありがちな陰気な雰囲気とはほど遠く、抜けるような青空のもとに清々しい気分にさせてくれる。とても気持ちがいい。 正面の本堂は遠目から見ると田舎の平屋のお家のようでガラスの引き戸と瓦屋根がなんとも趣がある。それだけに親しみやすさを感じやすく、圧迫感のようなものは感じられない。ただ、本堂入口の門には城で言う所の破風のようなものがあり、そこにわずかに金色の装飾が施してある。白壁と木しかない本堂にとって唯一のアクセントだが、これが嫌味っぽくなく非常に美しい。全体として美意識の高さを感じる。 鐘桜がいい。八の字に開いた小さな屋根にその鐘はある。境内の一番端っこ、淵にあるのでこの鐘桜越しの眺めは何とも絶景だ。ここからの鐘の音は市街までよく届くのだろうか。遮蔽物がなく、あまりにも広々とし過ぎて音が反響しないからもしかしたら届きにくいのかな、とも思う。ただし、この場所で鐘を突くご住職には気持ちがいいに違いない。青空に向かって鐘の音を響き渡らせるのだから。 鎌倉にもあじさい寺と呼称する寺が数多くあるが、ここもあじさい寺として有名だ。お寺とあじさいというのはどこか相性がいいのだろうか、派手過ぎず、晴れの日はもちろん、いや雨の日こそ美しく映えるからだろうか。雨とお寺もよく似合うし、雨とお寺とあじさいもまたよく似合う。