お戒壇巡り
子供の頃に聞かされていたのは、善光寺には真っ暗の中に錠前があり、それを触ることができたものにはご利益があるという話。善光寺を初めて参拝した時、お戒壇巡りがそれだとわかり、お戒壇といわれる本堂の地下のご本尊の真下を通る通路を巡ってみた。足を踏み入れた地下の通路は、本当に一切の光の入らない真っ暗闇。ご本尊のある側の壁をただ手探りで進むのみ。前後にいる参拝者の姿は全く見えず、話し声は聞こえるものの距離感もつかめず、本当に自分だけが頼りの別世界にいる感覚。ようやく錠前らしきものに触ることができホッとすると同時に、残り半分の通路をひたすら出口目指して進む。まったく目が効かない闇の中では、ひたすら自分自身を頼りに信じて行くしかないということを教えられたような感じ。お戒壇巡りは、善光寺が参拝者に課する鍛錬・修行の一つかもしれないとふと思えた。