金峯山寺蔵王堂
金峯山寺の本堂である蔵王堂は、国宝であり、世界遺産の中核資産に登録されています。単層裳階付き入母屋造り檜皮葺きで、高さ34m、裳階の四方36mの豪壮な建造物です。
創建以来、幾たびも焼失と再建を繰り返し、現在の建物は、天正20(1592)年に再建されたものです。その内部には、我が国最大のお厨子があり、秘仏のご本尊金剛蔵王大権現の尊像3体がお祀りされているほか、多くの尊像が安置されています。
金峯山寺の御本尊である金剛蔵王大権現は、およそ1300年前に修験道の御開祖である役行者によって感得された権現仏です。役行者は、全国の霊山を御開山になった後、熊野から大峯山脈の稜線伝いに吉野に修行されること33度を重ねられ、最後に金峯山山上ヶ岳の頂上で、一千日間の参籠修行をされました。苦しみの中に生きる人々をお救いいただける御本尊を賜りたいとの役行者の祈りに応えて、先ずお釈迦如来、千手千眼観世音菩薩、弥勒菩薩の三仏がお出ましに成られました。役行者は、その三仏の柔和なお姿をご覧になって、このお姿のままでは荒ぶ衆生を済度しがたいと思われて、さらに祈念を続けられました。すると、天地鳴動し山上の大盤石が割れ裂けて雷鳴と共に湧き出るが如く忿怒の形相荒々しいお姿の御仏がお出ましに成り、この御仏が金剛蔵王大権現で、役行者はこれぞ末法の世を生きる人々の御本尊と、そのお姿を山桜の木にお刻みになりました。これが、金峯山寺の始まりであり、修験道の起こりと伝えられています。権現とは、神仏が姿を変じてお出ましになった仮のお姿という意味です。金剛蔵王大権現は、役行者の祈りに応えて最初に現れられた釈迦・観音・弥勒の三仏が、柔和なお姿を捨てて、忿怒の形相荒々しいお姿となってお出ましに成られたものです。慈悲と寛容に満ちあふれたお姿と言われます。
桜のシーズンに合わせて秘仏ご開帳されています。一度のみならず二度三度と訪れたくなる神聖な寺院です。