松本城と松本神社
国宝の松本城は誰もが知る有名なお城だ。そのすぐそばに松本神社があることを御存じだろうか。車で松本城へ行った場合、当然車を駐車場に止めるのだが、その駐車場からも近い。これは立ち寄って損はない。ちなみに松本城を反時計周りで回ってもグルグル回るばかりで駐車場への入り口がなかなかない。コツは松本城を中心に時計回りに回った方が駐車場は見つけやすい。Pが左手に見えてくるはずだ。
その駐車場から徒歩ですぐのところに松本神社はある。木造の質素な門構え。色彩がなく質実剛健な雰囲気を醸し出しており、見れば誰しもがその門をくぐりたくなるに違いない。
門をくぐると敷地内の真ん中で鳥居が迎えてくれる。鳥居は門の外で出迎えてくれるイメージだがここでは境内にあって、ドンと構えて主役の座を奪いそうなくらい存在感がある。
境内は広くて平だ。松本城のように平城ならぬ平神社だから階段もなく空間がすっきりとしている。厳かという雰囲気というよりは心が晴れるようだ。
木々も規則的か不規則か、見ようによっては規則的だし角度によっては不規則であって季節によって色を変える木立の並び方を見ているだけでも面白い。
拝殿も門と同じで色合いがなく質素だが、それでいて力強くて実に格好がいい。とくに屋根に美意識を感じる。ほぼ左右対称で奇をてらった余計な造りはなく、ただ長方形に整然とつくられているのだがなぜか見ていて飽きることがない。それは安心感なのかもしれない。見ていて心が落ち着くのだ。華美な装飾にあちこち目を奪われることなくじっと見つめて対峙できる。
横も見て欲しい。縦に規則正しく並んだ板が見事で、木の優しさと力強さとを同時に伝えてくれる。色彩をほとんど及ぼしていないのにこれだけ魅了できる拝殿もなかなかないのではないか。絶賛に値する。
ちなみに松本城ゆかりの松本神社っていうくらいだから松本城築城の頃から松本神社として愛されてきたのかと思いきや、実は松本神社という名になったのは昭和に入ってからだそうだ。