

先ずは甲府五山を知りたいと思う。と、言いながら甲府五山とは何ぞやと問われるとその明確な根拠はよく分からず、ただ武田信玄が決めたということのほか詳しくは知らない。つまり、信玄公の鶴の一声で決まったようである。 東光寺、長禅寺、円光院、法泉寺、そして我が能成寺である。京都や鎌倉の五山になぞらえて甲府五山としたらしく、そのどれもがその名に恥じない趣のある寺となっている。 住宅街の四角四面の角ばった角をいくつか曲がると二本の石柱が立っている入り口が現れるが、よくある寺の山門などを目印として当てにしていると見逃してしまうかもしれない。初めていくには少し分かりづらいかもしれないので注意だ。 真っ直ぐに伸びた小径の両脇に林立する木立が美しく、このまま山奥へと誘われるのかとおもいきや木々がなくなって見晴らしがよくなり、右手に坂道が見えてくる。坂道の左手は墓地となっている。緑の草木が青空まで伸びていて清々しささえ感じる。墓石は風に吹かれている。 坂道は舗装もされていて登りやすく、このままこの丘の頂上まで登って行かねばなるまいと決心をするや否やすぐにお寺の建物が見えてきて、その先には進めそうもない。この程度で良かったと一安心。 左手の階段を上がる。右手は社務所だろうか。大きな建物があり、正面左にも小さな建物があってその前にお地蔵さまが鎮座されている。なんか八方ふさがりで、はて、本堂はどこかいなと思いながらとりあえずお地蔵さまにご挨拶をすると、その脇から小径が伸びていることに気付く。そしてその小道を抜けると真っ青な空が広がるとともに右手正面に本堂が見えてくる。建物は木の柱と白壁が見事で日差しも浴びて緑とよく映える。庭の砂利が眩しく、そして美しく、開放感がある。見晴らしも良くてベンチもあるから一休み。陰気臭くなくて親しみを感じられる。良いか悪いか平素はそれほど人影も多くないようで、ゆっくりと時間を過ごすことができる。