建仁寺
11月の紅葉の時期にお邪魔しました。幸いなことに、ライトアップされる夜間の特別拝観(事前予約、人数限定)に申し込みができ、日中には感じることができない雰囲気を味わうことができました。当日は車で行きましたが、本坊の東側に有料駐車場があり、コインパーキング等を探さずに済みました。駐車場から境内に入ることができ、本坊の脇へすぐですが、正面(勅使門のある境内の南側)から入られたい方は、敷地を大回りして入る必要があります。受付を済ませ、本坊へ入ると、まず視界に飛び込んできたのは、教科書等の書籍でしか見たことがない「風神雷神図屏風」で、思わず声が出そうになりました。こちらは高精細複製品だそうで、オリジナルは京都国立博物館に寄託されています。続いて本坊の中庭です。ここは「潮音庭」といい、中央に三尊石、東に坐禅石、廻りに紅葉を配した枯淡な四方正面の禅庭です。私がお邪魔したとき、境内は色付いてましたが、中庭は色づき始めでしたので次にお邪魔する時は、中庭の色付きに合わせたいと思います。この中庭から小書院の襖絵を見ることができるのですが、ライトアップされた中庭の紅葉の緑、オレンジ、赤と襖絵の鮮やかな青が作り出すコントラストがとても綺麗でした。この襖絵は「開山栄西禅師八百年大遠諱慶賛事業」で染色作家の鳥羽美花氏によって描かれ奉納されたものです。次は、重要文化財の指定を受けている方丈の襖絵「雲龍図」です。現在は8幅の表具仕立てになっています。夜間、明かりに照らされた水墨画の2匹の龍は迫力がありました。そして最後は法堂の天井に描かれた「双龍図」です。方丈から渡り廊下を進み法堂へ入って天井を見上げると、天井いっぱいに阿吽の口をした龍が「雲龍図」と同様に、明かりに照らし出され、その姿はまさに圧巻でした。天井に描かれているため見上げているからでしょうが、口が半開きになっていました。建物に入る月明かりと、床から照らし上げる光が相まって、法堂全体が言葉では形容し難い独特な雰囲気で、暫し時が過ぎるのを忘れてしまう感じでした。