心が穏やかになれる場所、仁和寺
京都には何度も行っていますが毎回同じところに行っていました。今回は行ったところがないところに行こうと思い、桜が有名な仁和寺を訪れました。清水寺や金閣寺のような華やかさはないかもしれないけれど、仁和寺には心がじんわりとほどけていくような、静かな魅力がありました。
場所は街中からは少し距離があります。京都駅からJR嵯峨野線で円町駅へ、そこからバスに揺られて10分ほどで御室仁和寺前に到着します。他にも京都駅からJRバスで1本でも行けるようです。
バスを降りてまずは、その壮麗な山門「二王門」から境内へ。堂々たる風格を放ちながらも、どこか親しみを感じさせる佇まい。門をくぐると目に飛び込んでくるのが、広々とした参道とその先に凛とそびえる五重塔とたくさんの桜の木です。江戸時代に建てられたこの塔は高さ36メートルあるそうです。
仁和寺の桜は、背が低くて花が目の高さに咲きます。なので歩くだけで、まるで桜に包まれているような気分になれました。しかもこの桜、ほかの京都の名所より開花が遅く、4月の中頃に満開になります。
五重塔のそばを歩き向かったのは「金堂」。ここはもともと京都御所の紫宸殿だった建物を移築したもので、現在は国宝にも指定されています。重厚感と気品をあわせ持ち、まさに「御所の寺」と呼ばれる仁和寺らしい堂宇だと感じました。中に入ることはできませんが、静かに佇んで眺めるだけでもその歴史の深さを感じることができました。
次に訪れたのは「御殿」と呼ばれる建物群です。ここは実際に靴を脱いで上がることができ、書院造の建物と、その向こうに広がる庭園が一体となった空間が広がっています。南庭の白砂と苔の対比がなんとも美しく、まるで一幅の水墨画のようでした。襖絵や調度品にも細かな意匠が施され、さすが皇族ゆかりの寺院という趣がありました。
仁和寺で他に有名なのが「切り絵御朱印」です。正月、春夏秋冬のタイミングで新しいものが発売されます。どれも作りが繊細でこれを集めるためにも通いたくなります。
都会の喧騒とはまったく別の時間が、ここには流れているように感じました。観光地というより、「居ること」が目的になるような、そんな不思議な場所です。